第11話 苦労人と、宇宙聖女(その9).1

 ※この11話以降の.1とか書いてるお話は書きかけのアーリィ(黒い戦乙女じゃない方)モデルです。
 カクヨムの方よりも先んじて載せております。


 宇宙に広がる星々の瞬きが、優しく宙風のブリッジに差し込む。
 それは、地表では決して得られぬ、安息の光。

 今という時を懸命に生きる人々を育む、星々の揺り籠である。
 
「提灯あんこう」でのどったんばったん大騒ぎなどつゆ知らず。
 厳しいミッションの合間に生まれた僅かばかりの休息を得た哲人ら。
 
 美しき煌めきが傷つき蹲る宇宙の戦士達を優しく包み込み、一時の休息を齎す。

『……天の川銀河に、こんな沢山の観光名所があるなんて知らなかったよ。これでも宇宙の方々を駆け巡っていたんだけどなぁ』

「造船、航宙技術が進歩して行ける場所が増えましたからねー」

「ウム、この航路も最近になって解放されたと聞く。……それにしても賢台よ、ガーディアンには巡回中の余暇は無いのか?」

『うーん、4勤2休だから、4日に1回は休みもあるんだけどな。私の巡りあわせが悪かったのか、大概裏道ばっかで母船を降りる事はほぼなかったからね』

「あっ……(察し)それは流石に仕方ないですねー。では、ご当地B級グルメだとか、そういった物なんかも?」

『そも、人自体が最小限しか居らんからね。料理はおろか、店すら無かったよ』

「なんと……(´;ω;`)ブワッ……むう、では、防人達はどう気散じしているのだ?」

『それこそ飯位しか楽しみが無いからね。料理の出来るヤツが非番になったら、オートクッカー代わりに駆り出されるんだよw』

「フッ、さもありなん。賢台のワザマエを思えば当然であろうな」

「いやいやwwww非番の意味無いですよねソレwwww」

『ンフッ、まぁそうだねw 幾ら料理が好きって言ったってなぁ……最初の内は良かったんだけどね、流石に邪魔くさい時もあってね。そういう時、ホットプレート出してきてさ、お好み焼きの元渡しといて勝手にやってもらってたよw』

「あーっ! あの金属のボウルに入ってるのをかき混ぜるヤツですよね!」
 
「ほう……己で調理するスタイルなど、失われて久しいが……。よく受け入れられたな」

『意外と好評だったよ。後は、餡と生地だけ作っといて、皆で餃子作って焼いたりとかね』

「ハハハ、すごく楽しそうですね! では、手ずからはどの様な料理をなさってたんですか?」

『隊員たちには、手の込んだヤツよりも家庭的な……ハンバーグとかオムライスなんかの洋食系と……後は筑前煮とか……シンプルな奴が好まれたからそういうのが中心だな。だが……』

「だが? ( ^ω^)?キョトン」

『私はお菓子の方が得意でね……ウチ(もこやん)で出すデザートを考えるのが多かったから自然とな……。そっちの方を作ることが多かったね』

「ほう! そうなんですね!」

「だが、何故菓子ばかりを? ( ^ω^)?キョトン」

『一度供したら、以降女性隊員の圧がキツくてな……(トオイメ)』

「あっ……(察し)」

「むう……それは、な……(((´;ω;`)))ブルブル」

『まぁ、お陰でお菓子作りが上達したから、悪いことばかりではないね』

「フッ、そうか……(ニガワライ)」

「ン~……フフッ(ニガワライ) じゃあ、どんなお菓子が得意なんです?」

『あ~、それはだね……』

「ほぅ……」

「へぇ~……」
 
 ガーディアン時代の話から急転、何故か料理談義に食虫華が咲く。
 まるでolみたいな、漢之娘達のノリが周囲を茶色い空間で満たしよる。

 それを横で聞いていた管まみれの|ジョーンズ《ハゲ》は、絵面のヒドさに悶絶。
 これにはたまらず、身をよじりながら吠えよった。

「なんじゃあオヌシら、そのスィーツ♪な会話は!? 気だるい午後にダレる女子大生かOLとかかね!? むくつけきおのこらが膝を突き合わせてする会話じゃないぞい!(ジタバタ)」

『おおセンセイ、起きておられたんですか』

「あれは、今から10年以上前の話じゃ……ワシはソロで売り出そうと躍起になっちょる青二才……って違う! ワシは瀕死の怪盗なんかじゃない!」

「何を言ってるんですか(。´・ω・)?」

「勝手にボケておいて良くいうわ(。-`ω-)」
 
『はぁ……。それで、馬鹿やって散々ほたえちらかした挙句、古代文明に手を出した訳ですね?』

「ウム、何とか地球に逃げ戻ったのだが、もう身動きひとつ取れなんだ……って、ちっがーう! このノリまだ続けるつもりかね!? そうすると弱ったワシに震える手で「お水……」って給水しよる幼子は哲人君、君の役どころという事になってしまうぞ!」

『wwwwいやいや、そうはならないでしょうwwww』

「なっとるじゃろがい!」

「いやいや、なってませんてwwww 第一、その役はユリエルさん(|ジョーンズ《ハゲ》の孫)でしょ」

 |ジョーンズ《ハゲ》のヌルいボケにゆる~く突っ込む哲人と貴将。
 だが、とんでもない事に気づいてしまった億代が驚愕のツイートをする。

「それよりも……さらりと幼き賢台へと意識を向けよるとは……このハゲやはり衆道の毛が!?(ドンビキ)」

「え!? しかもその上にショタなんですか!? うわぁ……(ドンビキ)」

『センセイ、前にも言いましたが、私は宇宙と武術だけのつまらぬ男とはいえ、流石にそこまで拗らせては……(((´;ω;`)))ブルブル』

 おのこらの軟弱っぷりを非難するつもりが、その矛先は己へと、しかも予期せぬ形で返り、見事頭部を貫通した|ジョーンズ《ハゲ》。
 突然変わってきたこの流れに、更にキモく煽動し、ムキになって反論する!

「!? ち、違うぞい! 今のはネタの流れ的にそうなるじゃろって言うただけであって、そんな気は毛頭ないぞい! ワシャ至ってノーマルじゃあ! 恒星が放つ光の如く直進踏破あるのみ!(キリッ)」

 口角泡を飛ばす勢いで自己弁護しよる|ジョーンズ《ハゲ》。
(必死杉内乙wwww)
 だが、その起死回生の試みは、無慈悲なる反論によって呆気なく雲散霧消した。

『そうはおっしゃいますがセンセイ、宇宙空間に於いて光線は様々な天体や星間物質の影響を受けますので、直進する事の方が稀ではないでしょうか(マガオ)』

「ですね。地表にあっても、物質を透過する際にはいともたやすく屈折しますしね(マガオ)」

「更には気象の条件次第で蜃気楼等のまやかしすら生まれる事もあるな(マガオ)」

「!? 何じゃオヌシら、急に理系っぽくなりおってからに! 違うの! ワシが言いたいのはそういう事じゃないの!(ドッタンバッタン)」

「いやいや、っぽい(夕立感)もなにも、小生らは理系の院生ですしおすし( ^ω^)?キョトン」

「この期に及んで見苦しいぞハゲ……(ヤレヤレ) では一体何だと言うのだ?┐(´д`)┌」

『二人とも中々容赦ないなwwww まぁそれは置いといて……。センセイは、我らが料理の談義をしているのに何かおっしゃりたい事があるのでしょう?』

「そ、そうじゃそうじゃ! ワシがオヌシらに一言物申したかったんじゃあ! やはり哲人君はワシの事をよく理解しておる! 流石哲人君! さす哲!」

「だったらボケなきゃいいじゃないですか(呆れ)」

「うぬが勝手にピンボールと化したのであろう……」

「ええい、もうその話は終わり! はいさい止め止め! それよかオヌシらじゃあ! なんじゃさっきから料理の話ばかりしよって!」

 勢いのみで何とか主導権を取り戻そうとする|ジョーンズ《ハゲ》であったが……。

「いやいや、|教授《ハゲ》、男性であっても料理ぐらいは出来て当たり前でしょう( ^ω^)?キョトン」

「然り。料理はもとより、家事ができて困る事等何もあるまい!(`・ω・´)キリッ」
 
 宇宙へと進出した人類にとっては、適材適所など当然の事。
 おのこであっても内務に勤しめば、おなごであっても肉体労働に従事することもあるのだ。
 出来るヤツが出来る事を精一杯するのに、何の瑕疵があるというのか。

「ムムッ!? いや、諸君らの主義信条嗜好を否定した訳ではないぞい! 気を悪くしたならすまんと思う! じゃが、ワシは謝らん!(# ゚Д゚)ウガー!」
 
 ワシは自分の意見を絶対に曲げたりはせぬ、絶対に!(キリッ)
 とかいう感じで言い放ちよった。
 
「ぬっ!? こやつ、開き直りよった!? うぬに文句をつけられる筋合い等無いわ! この|宇宙坊主《そらぼうず》め!」

「そうですよ!(便乗) 何を語ろうが小生らの自由ですよ! だからズル剥けにハゲるんですよハゲ!」

『センセイ、流石にそこまでおっしゃるのは我らの尊厳へのハラスメントですぞ(。-`ω-)ムムッ』

 普段は泰然自若とする哲人ですらちょっとムッっとさせ、まさに四面楚歌の|ジョーンズ《ハゲ》であったが。
 それでも何か、ここは譲れませんという物でもあるのだろうか?

 よせばいいのに、よりヒートアップして漢之娘らへと、尚もカガッと見苦しくも食い下がりよる!

「ホントに諸君らの悪口を言うつもりはなくての! っていうかワシハゲてないし! ……その、幾ら何でも絵面がヒド杉内なんじゃあ! 諸君らの様な美丈夫の口から出ていい会話ではない! 保護院のキッズ達が見聞きしたらば、失望のあまり泣き出してしまうのではないのかね!? オヌシらが語ればキッズ達が喜ぶような話、何かこう……あるじゃろ!?」

 かなりの長文を一息に捲し立てよる|ジョーンズ《ハゲ》。
 
 その顔は「鎧袖一触よ、心配ないわ」と言わんばかり。
 ヤリ♂切った感満点のどや顔であったが……?

 漢之娘らの反応は、これまた”思てたんと違う”ものであった!

「んなっ!? び、美て……!? |教授《ハゲ》、貴方はまさか我らまでをもその様な目で見ておられたというのですか!?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

「なんと、我が背後にブラックホールが!?(ゾクゾクッ) このハゲ、やはり衆道の真っただ中を疾駆しよるのか!?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

『クッ、途轍もない妖気を感じる!? 真なる恐怖の前には、私が積み上げてきた技など塵芥も同然なのか……((((;゚Д゚))))ガクゼンブルブル』

 |ジョーンズ《ハゲ》の言い放った破壊力ばつ牛ン、歪みねぇセリフに恐れおののく漢之娘ら。
 あまりの緊迫感にブリッヂの空気は一気に凍り付いた!
 
 空調が効いているにも関わらず感じるその冷気は、まるでこの場が、1ケルビンの熱量しかない宇宙空間の闇に放り込まれたと錯覚するほどであった!
 
「!? な、何を言うとるんじゃ諸君らはぁ~~!! ワシャ|┌(┌^o^)┐《ホモォ》でも無ければハゲてもいないッ! もうフルボッコだドン! ワシのライフはもう零~深淵の旅人~じゃぞ!? ワシ一応団長だよね!? 敬ったり労おうっていう気持ちは無いのかね!?」

「無いですね!(キッパリ)」

「そんな物は無い!(キッパリ)」

『ありません(キッパリ)』

 不用意な発言のせいで、|ジョーンズ《ハゲ》と漢之娘らの間には決して破れぬ障壁が生まれてしまった。
 その堅牢強固さたるや、通常空間とブラックホール内部を隔てる、事象の地平面もかくやと言う程であった!
 
 口は災いの元!
 自分の発言には責任を持とうヨシ!

「うおぉ~ん! あんまりじゃあ~! ワシはただ、論文を完成させた祝杯代わりに哲人君の武勇伝が聞きたかっただけなんじゃあ~! なのに、何故こうもズタボロボンボンに打ちのめされねばならんのじゃあ~!」

 まるで梅干しが如き渋面の|ジョーンズ《ハゲ》から巻き散らかされる汁が辺り一面を汚染する。
 滅多に曇らぬクリボゥメタル製のウィンドウですら、うっすらと汗をかき始めた。

 ブリッヂ内の湿度はとうとう不快レベルにまで上昇!
 尚も留まるところを知らぬ!

 これには思わず眉間に皺がよってしまう三人であったが……。
 耳へと入ってきたワードにふと、首を傾げ、虚空を見つめる哲人。

『おや? センセイ、|執筆《懲役》が終わったんですか?』

「おう! 何とか夜なべで頑張って終わらせたんじゃあ! 何せ、遺物がワシを四㌦けんのう! 今ならまだカシオペヤに戻れるからの!」

 汚い汁の放出を一時停止し、胸を張る|ジョーンズ《ハゲ》。
 そのせいで今にも爆ぜ散らかさんとぷくーっと腫れあがる管。

 貴将と億代は、頭の中でスマートボールが乱反射する感覚をなんとか堪えながら|ジョーンズ《ハゲ》を問いただす。

「この期に及んで、まだその様な事で我らを謀ろうと言うのか!?」

「そうですよ!(便乗) 実際そんなすぐに終わる量じゃなかった筈です! テレビジョン・チャンネルの見過ぎで、遂にそういう夢を見なすったんじゃないですか?」

「ぬほぉ! ワシは絶対に、絶対に、嘘なんぞ言っとらん! アニメイシヨンや仮想現実で無いこと位、流石のワシでも分かるわい!」

『常識というフィルターでは、センセイの世界を覗けやしないという事ですか……』

「ホッホゥ! exactry(その通り)じゃ哲人君! やはり君はワシの良き理解者であった! それに引き換えオヌシら院生連中といったら! 眼前の事象に惑わされておる様では、新たなる学へと通ずる扉を開く閃きを得る事なんぞ到底出来んぞ!?(`・ω・´)ドヤァ」

「ぬう!? このハゲ、我らを愚弄しよるか!」

「なんか、「ンー、確かにそうかも?」と少しばかり思ってしまう、それっぽい感じが余計腹立ちますね!?」

『センセイ、そこまで仰るのなら見せてもらいましょう……貴方が言う、|冒険心《アドベンチャー・センシズ》とやらを!』

「ガハハ! 望むところじゃあ! さぁ、見るがいいわい……。これがワシの|情熱《パッション》! 究極まで高めた|生命力《ユニバース》じゃあ! ぬぅう~……、フン!(ポーヒー♪)」

 体に悪そうな蛍光色を放つマルチコンクフード・リキッドで妖しく脈動する繭と化した|ジョーンズ《ハゲ》。
 その股間付近から、汚らしく脈打つ、濁った極彩色の光弾が勢いよく放たれた!

『おっと!?(サッ)』

「ぬう!?(ササッ)」

「うわ、きちゃなっ!?(サッサカサッ)」

 だが、誰からも受け止められずに、宇宙の闇へと虚しく消え去った……。

「!? な、何でじゃあ!? 何で誰も受け取らんのじゃあ!? 見せろって言うたのはオヌシらじゃろうがあ~!  汚いとは一体どういう事なんじゃ~~~~!(´;ω;`)」

『えっ? 我らに対しての意趣返しではなかったのですか?』

「そうですよ!(便乗) それに何でそんな所から|放出《ハナテン》を……、と、兎に角! 先ほどの汚い光弾は一体何なんですか!?」

「あれはただの完成した論文じゃ!」

「嘘をつけっ! この汚い|宇宙坊主《そらぼうず》めっ!」

『センセイ、紛らわしい演出は埒が明かないので、普通に渡してもらえませんか?』

「エー! しょうがないのう……ホレ、貴将君に送ったぞい!(ピロリン♪) っていうかワシ汚くない!」
 
「うわっ!?(ドンビキ) 飛んできた! きちゃなっ!(2回目)」

「大丈夫か貴将!?」
 
 苦笑する哲人を見て、流石の|ジョーンズ《ハゲ》もようやっと通常のやり方でフォルダを送信する気になった様である。
 渋々といった感じで視線を彷徨わせよる。
(仮想デスクトップは手を使わずに操作が可能である。しかも脳波コントロールも出来る!)

 しかし、先程の汚い演出が破壊力ばつ牛ンのインパクトであったせいか、普通の手段であって尚、貴将に嫌がられてしまった。

『そりゃあ……あんな|放出《ハナテン》されれば致し方無いでしょう。視線入力で通信出来るのに、何故誤解を招く様な事をなすったんです?』

「なんか勢いよく飛ばすイメージしやすかったからの! ガハハ! 後、そこの二人! いい加減しつこいぞい! 普通のフォルダは汚くないもん! ワシ泣くぞ!?」

 哲人と話してる脇で騒ぐ二人を見て、ウネウネとキモく蠢く|ジョーンズ《ハゲ》。
 フォルダを受け取った貴将は、それはもう、心底嫌そうな表情であった。

『(……こんな嫌そうな表情をする人を見たのは人生で初めての事かもしれんな)』

 と、思わず顎に手を当て、考え込む哲人。
 この苦労人が思わず腕を組む程の表情とは一体、如何ほどに嫌そうなのだろうか……?

 そんな哲人をよそに、ただただ困惑する貴将。
 突如降りかかった厄介事(得体のしれないフォルダ)に踏み込むべきか葛藤しよる。

「いやいや、普通に送ればいいんですよ! ……それにしても。何か感じ的に汚くてフォルダを開きたくないなぁ……。ネチョッとしてそう……」

「100回は走査してからの方がよかろう。NAVI=OSのリカバリーバックアップは任せよ」

「有難う億代君! では、深呼吸して……ヨシ! いざ!」

 |億代《友》の熱い激励を受けて覚悟完了する貴将!
 勢いよくフォルダを展開した!

 そんな二人を見て、哲人は思わず吹き出してしまった。

『ンフフッwwww二人ともメタバース・ローグ(電脳専門のスペースローグの事)にでも相対するかの如き構えだなwwww』

「うぐおぉ~~~~! オヌシらには慈悲というものがないのかぁ!?」

 二人の過剰なまでの嫌がりっぷりを受け、屈辱の余り、より一層キモく蠢き散らす|ジョーンズ《ハゲ》。

「フッ、そんな物は無い!(断言)」

「そう思うならあんな送り方しないでください! ……ンー、どうやらデータには異常ありませんね。」

「当然じゃろうがあ~! ナンデ!? ワシはナンデこんな仕打ちされにゃならんのじゃあ!」

 再び色々な汁まみれになりながら、尚もキモく蠢き三昧の|ジョーンズ《ハゲ》。
 それをみて哲人は、「日頃の行いは大事」という事を痛感した。

『ンフフッ……! まぁ兎に角。貴将君、論文の出来はどうなのかな?』

「おっと!? そうでした! 論文でしたねコレ! ……どれどれ……(ビクビク)」

「貴将よ、少しでも異常を感じたら即時破棄するのだぞ(ドキドキ)」

「ぬぐおぉ~~! 億代君、君も大概しつこいの!?(ドッタンバッタン)」

 おいおい、忘れるなよとツイートしつつ貴将を見守る哲人。
 この調子だと、あの嫌そうな表情が崩れる事はなさそうだが……。

 その期待(?)は、いい意味でルラギられた。

 渋面から驚愕、そして一転、歓喜の表情を浮かべる貴将。
 
「(。´・ω・)ん? ( ,,`・ω・´)ンンン? おお~! すごい! ちゃんと完成してるじゃあないですか!? やれば出来るじゃないですか|教授《ハゲ》!」

「じゃけん、さっきからそう言うとろうに、オヌシらと来たら、ワシの話をさっぱり聞いてくれんかったじゃろ!?」

 ここぞとばかりに己が無罪を主張する|ジョーンズ《ハゲ》。
 だが、それでも億代は信じきれぬ。

「何ッ!? 本当か!? 視覚情報をARフィルターで欺瞞されているのではないのか!?」

『wwwwいやいやwwwwそれだとそのフィルターが論文だろwwww後、そんな芸当、ローグにだって出来ないからね』

 十重二十重に厳重なセキュリティが施された生体ナノマシンを欺瞞するのは限りなく不可能に近い。
 いつの時代も、こすっからいソフトキルはお馬鹿さんの常套手段である。
 当然にして、バッチリ対策がなされている。

「そうじゃそうじゃ!(便乗) ワシは探査と学問の事だけは絶対に、絶対に嘘なんぞ言わん! それにしても億代君、ワシに向けるその怒りと憎しみは一体何なのかね!? 君に恨みを買う様な真似をした覚えなんぞないぞい!」

 思わずツッコミを入れる哲人に便乗して勝ち馬にとり憑こうとする|ジョーンズ《ハゲ》であったが……。

「このハゲェ……よくも抜け抜けと! 恨みならある! 蔵智を唆して危険な|旅《ジャーニー》に引きずり込んだという、恨みがな! 忘れたとは言わさんぞ!」

 突然のぐう正を突き付けられ、正面衝突にクラッシュしよった。(ざまぁwwww)
 だが、このハゲは謝らない。

「おひょっ!? そ、そうじゃった……かいのう? てへぺろ☆ まぁよかろ! 済んだことを何時までも言うのはおのこらしくないぞいっ!(キャハッ☆)」

「ぬく……! おのれぇ……! ゆ゛る゛さ゛ん゛!」

「確かに、諸君らには済まないと思うておる……。じゃがワシは謝らん!(2回目)」

 フジャケルナ! モアイ!
 アンタガナ、アンタガスベテワァールインダヨォ!
 オグャウゥン!
 オレノジャマヲスルナラカタイプロポッポデロ!
 ミダダァ! クサァ!

 何故か|ジョーンズ《ハゲ》の周りをくるくる回りながら口論する億代。
 これまた妙なエコーがかかっていて、二人の言葉が聞き取りづらかった。

 一体何を見せられているのか分からず立ち尽くす哲人に、興奮した様子の貴将が語りかけてきた。
 どうやら、論文を読み終えたようである。

「星永さん、見てください! この論文すごい出来ですよ! |教授《ハゲ》が以前書いたのより断然読みやすいですね!」

『ほう! そうなのか! しかし、門外漢の私が見て理解出来るかな?』

「いえ、だからこそ見てもらいたいですね! すごさを実感して頂けるかと!」

 貴将のはしゃぎっぷりに、目を見張る億代。
 口論していた|ジョーンズ《ハゲ》等放り出し、貴将の安否を気遣う。

「なに!? 本当に大丈夫なのか!?」

「有難う、小生なら大丈夫で問題ないよ! 億代君も見るといい! あ、走査は改めて108回したから!(ハイ)」

「む、なら一安心だな!(ピロリン♪)」

『ンフッ! 明確な意思を感じる回数だなwwww(ピロリン♪)』

「貴将君までひでぇ! 何たる言いぐさか! ワシ程欲望から程遠い存在なぞ居らん!」

「抜かせ! この煩悩の化身がッ! ヒドォチョグテルトヴッドバスゾ!」

『ンフフッ……! 禁ずるより欲するがまま、自ら欲望と一体化する事もまた、解脱する方法なのかもしれないねw さて、億代君。兎に角論文を見てみよう。どれ……』

「フンッ! どこまでも命冥加なハゲだ! 貴将と賢台に免じて見逃してやる! では、この億代も……ムムム?」

 尚もピュアだ無垢だ潔白なんだと騒ぎ立てる|ジョーンズ《ハゲ》を放置し、暫しの間論文に目を通す哲人と億代。

 その猜疑に満ち溢れた表情は、貴将と同じく、見る間に驚嘆するものへと塗り替えられた。

『おお……。何と、私にも理解できる! これは素晴らしい!』

「むう、確かに……。こやつ中々やりよるわ……!(ワナワナ)」

 この世の罪咎を全てかき集め、グッチャグチャにかき混ぜた後、ギッチギチに凝り固めた様な邪悪の化身|ジョーンズ《ハゲ》。
 そんなやっこから生まれ出たとは到底思えぬ、素晴らしき出来栄えであった。

 源泉たる存在がいかに因業深くとも、その子孫に罪は無い。
 これには、流石の二人も認めざるを得ぬ。

 論文の成果を確信していた|ジョーンズ《ハゲ》は、今まで喚き散らしていた事などなかったかのように得意満面。
 その調子は有頂天となり、鬼の首を取ったかの様な勢いだ。

 今日一番のキモいうねり散らかし具合でもって、自画自賛しよる!

「ガハハ! そうじゃろうそうじゃろう! ワシ自身でも信じられん程、会心の出来栄えじゃからな! っていうか、己でもどうやって書いたか思い出せん! うっかりで偉大さを改めて証明してしまうとは、流石ワシ天才! ワシ天! 冒険計画ワシライマー! っつう訳でオヌシらもこれでワシを敬って労う気持ちになったじゃろ!?」

 その表情は「皆優秀な|子《論文》達ですから」と言わんばかり。
 またもやヤリ♂切った感じの、ウザいドヤ顔であったが……。

「「「いや、それは無い(な、ですね、ですな)!(キッパリ)」」」

 と、アッサリ斬って捨てられてしまいよった。
 (ファー、ざまぁwwww)

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